第24章 動物園
苗字と一緒に歩き始めた赤司は再び彼女の手から荷物を奪い、手を繋ぐ
荷物を奪われたことに一瞬驚いた彼女は目を丸くさせたが、いつものことなのですぐに前を向きその手を握り返した
『征十郎のお父さん、面白くなってたね』
「名前が戻って来るまであそこまでじゃなかったんだがね、柔らかくなったよ」
『付き合ってること、いつ言ったの?』
「父さんには割とすぐに言ったかな
雪さんには先月朝行ったときについでに挨拶したんだよ。それで合鍵もらったんだ」
『…へえ』
「雪さんが驚いていたよ。付き合ってなかったの?って」
『そうなの?』
「中学生の頃から付き合っていると思ってたそうだ」
『まああの距離感だったもんね、親だったらそう思うかも』
「喜んでいたよ。雪さんは特に」
『目に浮かぶよ…』
恋愛沙汰やおしゃれのことになるといつまでも女子高生みたいなテンションの彼女だ
赤司の前でもそんな感じだったんだろうと苗字の脳裏になんとなく様子が浮かぶ
『征十郎のお父さんは?』
「そうか、大事にしろ。と」
『ひえ…いいお父さんだ…』
そんな会話をしながら歩いていると、当たり前だが家の前に近づく
手を離し、赤司が預かっていたバレンタインのお返しを苗字が受け取り家の前に辿り着き、お礼を言うため立ち止まった