第24章 動物園
『やっぱりクマって紫原に似てるよね?紫原がクマに似てるのかな』
「名前、こっちのクマ、メガネグマというみたいだよ」
『緑間じゃん』
気になって見る。眼鏡と言われれば眼鏡だが思ってたより眼鏡じゃない
ツキノワグマの月の方がしっくりくると苗字は腕を組む
『緑間には似てないなあ』
「誰に似てるんだい?」
『…いや誰にも似てないよ。紫原も大きさとのんびりした感じがクマっぽいだけだし』
のんびりしている感じが似ていると言ったが、たまにニュース番組で見るクマ出没だと動きは速いし俊敏である
そういうところも似ているなあとクマを眺めていると、園内マップを見た赤司が何かに気が付いた
「あっちにチーターいるね」
『トラもいるけど、黒ヒョウいないね』
ケラケラと笑いながら2人で見て回る。途中お昼に動物園限定カレーというものを食べ、園内を回った
園内を巡り終わり、お土産屋が見えて来る
せっかくだしみんなに何か買って行くかと店内を見て回っていると、何かを見つけた赤司が苗字の方を叩いた
「メガネグマのぬいぐるみいるかい?」
『…いい、かな』
冗談のつもりだったのか分からないが、彼が指さすリアリティにあふれたメガネグマのぬいぐるみを見て思わず引いてしまった
やはり冗談のつもりだったのか赤司は反応を笑っており、そのまま店内を1周した結果当たり障りないお菓子を買うことに決める
『この動物クッキーにする』
「キリンの首の抱き枕、1分の1スケールはどうだい?」
『冗談だよね?そんなあるの?』
「あるよ」
棚の上の方にキリンの柄をしたクッションが横たわっている。これを買う人はいるんだろうかと何とも言えない視線を送った
「欲しいなら買ってあげようと思って」
『いや、いいって…』
「冗談だよ」
『冗談ならもっと冗談っぽく言ってくれない?』
黒子並みにわかりにくいポーカーフェイスに溜め息を吐きながら苗字はレジへと足を進める
赤司が財布を出そうとしていたが「お土産くらい自分で買わせてくれ」という強い意志により、それの中身が減ることはなかった