第24章 動物園
「ふれあい体験コーナーがあるよ」
『小さい子でいっぱいだね』
「仲間に入れてもらってもいいじゃないか」
『…そうね』
背が自分の半分くらいしかない子供や小学生くらいの子に仲間に入るが邪魔にならないようにしていると、モルモットが一匹寄ってきたので撫でる
温かくて可愛いなあとそのまま撫でていると、彼女に人影が寄ってきた
「おねーさん、うさぎさんすき?」
苗字が声がした方向に顔を向けると、同じ色の帽子をかぶった小さい子が話しかけていた
何人かでうさぎを観察してるらしい。色とりどりのうさぎが近くでぴょこぴょこと動いている
『うん。可愛いよね』
「おにーさんは?」
「…オレかい?」
「うん」
「そうだね、好きだよ」
「ほらー男の子でもうさぎさん好きなんだよ」
「じゃあ大人になってもうさぎさん好きで大丈夫だね」
一体どういう会話をしているのか見えない状況に首を傾げていると先生らしき人物が「次のところ行きますよー」と声を掛ける
一気に空いてしまった空間にモルモットやウサギなど小動物を赤司と撫でていると、また小さい影が彼らに寄ってきた
「みんな、いない…」
泣きそうなかぼそい声に2人が振り返ると、先ほどうさぎが好きかと聞いてきた子と同じ帽子をかぶった小さい男の子がいた
置いていかれてしまったのかと駆け寄ろうとすると、先に赤司が動き「大丈夫か」と問いかけるが、首を振るばかりで大丈夫ではないよう
『どうして1人になっちゃったの?』
「うさぎさん触らせてもらえなくて…くやしくてトイレ行ってた」
『今ならうさぎさん触れるよ?』
不安そうな表情から少し笑顔に変わる。うさぎに惹かれている間に赤司に視線を合わせた
彼は先ほどの団体を探しに行き、苗字は目の前の泣いている男の子と一緒にうさぎを撫でる
『あと3回なでなでしたらみんなのこと探しに行こうか』
「うん」
小さいのになんて聞き分けがいいんだと、普段一緒にいるメンバーが最後だと言ってるのに「もう1回もう1回」と対戦を繰り返し帰るのが遅くなるのはザラだったと当時も今も変わらないことを思い出していた