第24章 動物園
迎えた当日、見事なまでの快晴。苗字自身の部屋の姿見の前でクルクルと回る
混んでないといいなと思いながら準備をし、カバンを持ってリビングに向かうと朝にはなかった朝刊を読む赤司の姿があった
「おはよう名前」
『おは…なんでいるの?デジャヴ?』
「合鍵もらったんだ。雪さんがいないときは頼むとね」
『…もう成人近いんだけど』
この間も同じようなことを思っていた気がすると、我が家のように椅子に座っている新聞紙を畳む赤司を見る
彼も苗字の事を見つめ、着ている系統としては珍しくはないが見たことない彼女の服装に首を傾げた
「その服新しく買ったのかい?」
『うん。動物園デートなら動き易い方が良いかなって』
「似合ってるよ」
『…アリガトヨ』
「もう行けるのかい?」
『持ち物最終チェックしたら大丈夫』
ハンカチなど持ち物を最終チェックした苗字は赤司と一緒に玄関に向かう
動き易そうなヒールの低い靴を履き、手を差し伸べてきた彼の手を取り、扉を開けた
そのまま駅に向かい電車に乗って動物園の前に着くと、見事家族連れとカップルでにぎわっている
確かに1人で来る人はマニアくらいかと思いながら当日券の列に並ぼうと歩き始めようとするが、赤司は入園口の方へ歩き出す
え?チケットは?という顔をする苗字を見て、赤司が笑った
「もうあるよ」
『え?』
「オンラインチケットを購入しておいた。そのまま入れるよ」
『…出来る彼氏だなあ』
「褒め言葉として受け取っていいんだよね?」
『もちろん』
赤司に手を引かれるまま入園すると、おおはしゃぎしている子供がいる
今は3月、小学生や小さい子が卒業遠足で来ているらしい。微笑ましいなあと彼らの事を見ながら園内パンフレットに手を伸ばした