第24章 動物園
「まだ空いてるかい?」
『うん。キセキたち以外の予定は入れないつもりだったし』
「頼もしいね」
『そもそも春休み他の日に遊べばいいし、ね』
とは言うが、みんなの予定が分からないのでこちらからは誘いにくい
桃井からは「ご飯行こ」と誘われついでに出かけたり、赤司とも部活帰りに時間を合わせて話したりしているが、彼も家の事があるので休みの日にどこかへ出かけると言うのは1ヶ月ぶりである
「一緒に動物園行こうか」
『なんで動物園?』
「遊園地には行ったし動物園かなと、水族館でもいいよ」
『どっちでもいいけど…』
「天気が良かったら動物園で、悪かったら水族館行こうか?」
『今の時期あんまり雨のイメージ無いけど』
どちらにしろ赤司の不思議パワーで晴れる気がすると、昔からの行事すべてが晴れてきたことを思い出す苗字の口から欠伸が出る
「もうお風呂入ったのかい?」
『うん。寝るだけだよ。征十郎は?』
「ストレッチしたら寝るよ」
『明日も練習?』
「ああ」
ベッドにごろんと寝っ転がる
3月だがまだまだ寒い気候に布団を被りながら彼と電話を続けることにし、赤司もイヤホンをつけてそのまま話をする
「当日また迎えに行っていいかな」
『むしろあたしが行こうか』
「大丈夫だよ。女性の方が準備に時間かかるだろう」
それはその通りだが、涼太のようなタイプだとまた違うのかもしれないと彼女は考える
結局彼の迎えに来てくれるという行為に甘えることにし、当日何時に来るかを決めた
「今度はちゃんと着飾ってきてくれるかな」
『なるべく頑張るね』
そのまま話している内に段々苗字の瞼が落ちてくる
最初返事が無くなったことに赤司も心配していたが、聞こえてきた寝息に困ったように笑った
「おやすみ名前」
そう言って笑った彼は電話を切った
余談だが翌朝、寝落ちしたため起床した苗字が大慌てで携帯を充電することになったのは、今後の寝落ち通話の教訓となったそうだ