第23章 チョコを配ろう
1つ食べて満足したのか赤司はラッピングを元々の状態より綺麗にかけ直す
相変わらず手先が器用だと思っていると、彼が苗字の奥にある紙袋に視線を見ていることに気が付き首を傾げた
「残りももらっていいかな」
『そんな食べる!?いいけど』
「紙袋ごともらうよ」
『…太るよ』
「大丈夫だよ。父さんと食べるから」
『もっとやめてよ…』
だが既に中学時代のバレンタインの際、赤司の父親も苗字のチョコを分けてもらっている
一時期に比べ柔らかくなった自分の父が「美味しい」と言っていたことは覚えているし、ホワイトデーのお返しを協賛してくれたこともしっかり記憶しており、彼女も知っているはずだ
「ホワイトデーの夜、空けといてくれるかな」
『うん。なんも予定入らなければ』
「先着順じゃないのか」
「重要度によるかな」
もし今日会ったメンバーの何人かでホワイトデーのついでに遊ぼうとかなったら断るわけにはいかない
目の前の彼はもちろんだが、苗字にとってあの色とりどりの彼らも大事な人
分かっている赤司はそこまで束縛する気はないし、彼にとっても彼らのことは大切だ
きっとそれは向こうも一緒だろうと、今日会った面々を思い出しながら赤司が立ち上がる
「そろそろ帰ろうか」
『ごめんね寒い中渡しちゃって』
「寒いのかい?」
『そうねーおかげさまでぽっかぽかよ』
笑いながら苗字も立ち上がり、どちらともなく手を繋ぐ
そのまま2人で雑談を続け、スタート地点である苗字の自宅の前に辿り着いた
今日は家に上がることなく真っすぐ彼は帰っていき、見送った後家に入る
疲れてしまったのかあっという間に寝てしまったが、目が覚めると色んな人からメッセージで「チョコ美味しかった」と届いていた