第23章 チョコを配ろう
家を出て手を繋ぐ。そのまま歩いていると火神とよく来たストバスコートの前に差し掛かった
懐かしいなと思いながらまだチョコレートを渡せていない赤司に声を掛ける
『寒いけど、ちょっと寄ってもいい?』
「構わないよ」
どこか屋内に入るのが1番なのかもしれないが、そんな改まっても困ってしまうのでと、ストバスのベンチに座る
昔高尾ともバレンタインの夜もこんな感じだったなと懐かしいことを思い出している苗字の横で、赤司もみんなと彼女のことを尾行したことを思い出す
お互い懐かしい当時を思い出しながら、彼が預かってくれている紙袋を受け取りチョコを取り出した
『はい。バレンタインのチョコ』
「もう少し可愛くくれてもいいんじゃないか」
『そう言って外に出たんだよね!?』
「今のだと黒子たちに渡す時と変わらないよ」
そういうところは注文が多いと困ってしまう
どうすれば彼の言う可愛いになれるのかと考えていると頬に冷たく柔らかいものが当たる
瞬きをした彼女の目の前に赤司の顔がある。冷たく柔らかいものは楽しそうに笑っている彼の唇だった
「困らせて悪かったね、からかいたかっただけだよ」
『…は』
「人がいないときは、許してくれるんだよね?」
動悸が急に速くなる。顔に体温のすべてが集まったように、ゆでだこのように真っ赤になる苗字を見た赤司が声を出して笑いだした
この反応が面白くてからかってしまうんだと、呼吸を正しながら彼女の冷たい手に自分の手を重ねる