第23章 チョコを配ろう
目的地に着きチャイムを鳴らすと、当たり前だがドアが開く
迎えてくれた同じ赤色でも少し暗い瞳が困惑を見せつつ、同じようで違う赤色とオレンジ色を映した
「来るなら前もって電話しとけよ」
『どうせバスケ以外やることないでしょ?夜だからサーフィン出来ないし』
「外寒いだろ、中入ってけよ」
「…待ってようか?」
『あたしは征十郎も一緒で平気だよ。火神が問題なければ』
「別に構わねーよ」
『じゃあ、お邪魔するね』
そう言いながら彼の家に上がる。勉強はマジバで教えていたから記憶が戻ってから来るのは初めてだと、苗字が懐かしい気持ちに駆られていた
ここでウィンターカップの祝勝会や黒子の誕生会をやったものだと、そのままリビングに通されローテーブルを挟んで座った
「茶でも飲むか」
『すぐ済むから大丈夫だよ』
赤司から紙袋を受け取る。何個か残っているチョコレートの中に、他の人とは違うチョコレートの色したシフォンケーキが用意されていた
黒子や黄瀬から送られてきた写真と違うそれに火神は驚いたが、テーブルの上に置かれたそれを凝視する
『はい。バレンタインのチョコ…というかケーキ?』
「お、おう。サンキュ…なんでオレだけ大学来なかったんだ?」
『消える前に色々考えてたみたいだったから。その意思を継いだんだよ』
「…意思?」
『何作りたいとか、夜だけでも火神と会いたいとか思ってたこととか、考えてたことは分かるんだ
火神は質より量だから大きいのあげたかったんだって』
明らかに大きいので存在に赤司は気が付いていたが、苗字が作りそうもないものなのでと推測していた答えとはあっていたのか、隣で頷いている