第23章 チョコを配ろう
ケーキと紅茶を飲みながら時間を潰し、暗くなり外に出ると冷たい空気が漂っている
店内が暖かったから余計に寒く感じ、苗字がマフラーを口元まであげた
『いや、寒…』
「行こうか、こっちだよ」
スマートに手を取る赤司の手は同じ店内にいたのに苗字に比べ温かい
この間の遊園地の帰りも繋いでいたし付き合っている男女なので繋ぐことに何ら問題ないはずなのだが、彼女の頬がまた赤く染まっていく
「手を繋ぐなんて初めてじゃないだろう」
『そう、なんだけど…』
「…中学生の時だって、この間も繋いだはずなんだが」
『あの時は隠し通すのに必死だったし、なんか、緊張してるみたいで』
「へえ?」
『笑わないでよ!本当なんだから!』
怒りを込めて強く手を握るが赤司はビクともせずそのまま歩き続ける
『…なんか、男女の2人組増えてきたね』
「バレンタインだからじゃないか?」
『まあそれ以外に理由ないと思うけど』
駅が近くになるにつれて男女の2人組が増えていき、その波に乗って歩いていると、ようやくイルミネーションが行われているという目的地へたどり着いた
『綺麗…』
「この間の遊園地のイルミネーションも綺麗だったけどね」
『規模はあっちの方が大きいかな。でもなんかこっちの方がハート多いし、バレンタイン向けって感じ』
「そうだね」
幸せだと、暗闇の中イルミネーションに照らされた彼を見て考える
そのまま苗字が見つめていると、気が付いていた赤司が横を向き目が合った