第23章 チョコを配ろう
続いて赤司の計画通りにやってくる
たしかに頭数にいれていたが本当に連れてきてくれるとはと、待ち構えていたようにしている笑顔の虹村を見ながら苗字が考えた
「そりゃああいつらのとこ回ってんだったらオレのとこも来るよな」
『モチロンデス』
「赤司とデートか?バレンタインにいいな」
「ええ。たまたま練習が休みになって」
「本当にたまたまか、根回ししたんじゃねぇの」
「まだできませんよ」
『その内できるの?』
彼ならやりかねないと苗字も虹村も苦笑いを浮かべる
そのまま話しながら、再び赤司の持つ紙袋からチョコを取り出し虹村に差し出した
『チョコです』
「おう、サンキュー。灰崎にはあげるのか?」
『1年生の時にお返しくれなかったのであげません!』
「まーあいつは渡さねーだろうな」
悩むことなく答えた苗字を見て、虹村はケラケラと笑う
少し雑談をしてから、彼は体育館内の時計をちらりと見て溜め息を吐き腕を伸ばした
「さ、戻るか。お前らもさっさと次行けよ」
『…なんか呆気ないですね』
「次こそ1部上がりてえからな、頑張ってんだよ」
「虹村さんは変わりませんね」
「お前らも変わってねーだろ。特に名前」
『そんなことないと思うんですけど』
とは言ったものの自分も中学の時と何も変わってないような気もする
他の人も変わっていない気がするが当時を思い出すと全然違うのが事実で、今日も色んな人の後ろ姿を見て成長を感じたものだと、今まで渡してきたメンバーを思い出していた
「じゃあな。気を付けろよ」
『練習中にすみません。ありがとうございました』
「おう。ホワイトデー期待しとけよ」
『します!』
「すんな」
『しろって言ったの虹村先輩じゃないですか…』
中学の時と変わらない笑みを浮かべたまま彼が去っていく
この笑顔だけはこの先も変わらないでいてほしいなと思いながら、くすくすと楽しそうに笑っている赤司とともに次の大学へと向かうことにした