第23章 チョコを配ろう
『はい和成、チョコ』
「サンキュー!見てくださいよー!女の子にチョコもらっちゃいました!」
「はぁー!?高尾なんだお前」
「彼女いないんじゃなかったのか裏切り者!」
「いやいねえっすって!隣にいんの彼氏っすもん!」
先輩らしき人物の視線が苗字と赤司に移る
一目見て赤司だと気が付いた彼らはざわつき始め、隣にいる女性が帝光の監督だった人物だと気が付くとざわつきはより大きくなった
この感覚も懐かしいなと長い髪を指に巻きながら苗字が考えていると、高尾は楽しそうに笑っている
「名前ちゃんも赤司も有名人だな」
「そんなことないよ」
『もうマネージャーもなんもやってないよ』
「何言ってんだ月バスにしょっちゅう載ってたやつらが」
会話をしていると赤司がスマホで時間を確認する
もうそろそろ出なければいけない時間なのだろうかと同じように苗字も確認すると、敷地が広かったからか確かに思ったより長居しているようだった
「もう帰んの?バスケしてけば?」
「まだあと渡しに行かなければならない人が何人かいてね。次の場所に行かないと」
『次紫原?』
「そうだね」
「こっから校門まで結構あるしオレのチャリ乗ってけよ」
先ほどまで高尾が乗っていた自転車を見た。そう言えば中学の時に乗っていたのとも、高校の時にリアカーに繋がれていたのとも違う自転車に、苗字が首を傾げる
『新しく買ったの?中学の時とも高校のとも違うよね』
「これは大学の構内用。敷地広すぎるから買った方がいいって生協で買ったんだ」
『え、鍵は?』
「誰も盗らねーっしょ、校門近くの駐輪場止めといてくれりゃいーぜ」
「名前乗っていっていいよ」
「2人乗りすりゃいいじゃん」
『…法律違反』
「ここ大学の構内だし今日教授いねえしへーきっしょ!オレもたまにやってるし!」
「男とな!」
「センパイそういうのはいいんすって!」
外野からのツッコミにそういうのは大学内で禁止されているところが多いが大丈夫かと、赤司が心配する
だけど彼の言う通りここは敷地内。先ほど歩いているときも数人しかすれ違わなかった
見つかってしまっても謝罪すれば問題ないだろうと、高尾から鍵を受け取る