第23章 チョコを配ろう
続いて予定通り高尾の大学へとやってきた
広い敷地内を歩きながら体育館に向かっていると、後ろからベルの音がしたので2人とも振り返る
高尾をはじめバスケ部らしき人物が自転車に乗っており、まさかの登場に苗字は目を見開いた
「名前ちゃんと赤司じゃん!」
『わ、和成』
「なんだ高尾彼女かー?!」
「つーか隣いんのキセキの世代の赤司じゃん!オーラやべえ!」
「ちげーって!先戻ってろ、午後練までには行くわ!」
自転車を降りた高尾が苗字の隣に降りて自転車を押す
今までバレンタイン当日にチョコの交換をしていた高尾と苗字だが、今回は出来ないと断ったのは先日赤司と午後会うことが決まったとき
それを覚えている高尾はなぜ赤司と彼女がいるのかが不思議だった
「今日会えねーんじゃなかったっけ」
『うん。そうなんだけど、征十郎がチョコ配りに行こうって言ってくれて』
「ヒュー!いい彼氏だな赤司」
「独り占めしたら怒るだろう」
「そうだな怒るわ。なんだー来てくれんなら妹のチョコ持ってくりゃ良かった」
『和成は今年も作ったの?』
「もちろん!バスケ部の奴らに配ったら好評だったわ。まだ余ってるからちょっと待ってろよー?」
前かごに入っているカバンをガサゴソと漁り、取り出した袋の中には量産したであろうトリュフが入っている
2年生の時もらったなと懐かしい気持ちに苗字がなっていると、彼はもう1袋取り出した
「ほいこれ!赤司にもやるよ!」
『ありがとー…なんか中学生の時よりクオリティ上がってるね…』
「オレにもくれるのか」
「この状況で名前ちゃんだけにあげんのもおかしいじゃん?」
「そんなことないと思うが」
「いいから受け取っとけよ!美味いから!」
『大丈夫。和成のチョコは美味しいよ』
「…受け取っておくよ。ありがとう」
そのままなぜか体育館に辿り着く
ここまでついてくる必要はあったんだろうかと体育館の前に自転車を止めた彼に、今度は苗字からチョコを渡した