第23章 チョコを配ろう
外に出て時間を確認した苗字は大学に行く前に寄ってもいいかと、どうせ電車に乗るためにも行かねばならない駅へ歩き出す
到着し、待ち合わせの目印にされている場所の前で2人で待っていると桃色の髪を揺らしながら彼らに近づいていく
「名前ちゃーん!赤司君!」
『さつき!』
腕を振りながら走ってきた彼女はそのまま苗字に抱き着いたので、そのまま受け止める
「赤司君も一緒なんだね!」
「ああ。たまたま休みになってね」
「へーそうなんだ!」
『ちなみにみんなが部活かどうか知ってる?』
「知ってるよ?教えよっか」
さすがは情報収集が得意なだけあると、今日どこの大学が部活で何時までなのかまで知っているのはさすがにどこから仕入れたのか怖くなってしまった
覚えきれないのでメモアプリに記していき、行きたい全員今日部活があることを確認する
『ありがとう。お礼じゃないけど、チョコあげるね』
「わー!ありがとう!名前ちゃんのチョコ食べるの久しぶりだし嬉しいなぁ」
『さつきは作ったの?』
「作ったんだけど、大ちゃんに渡すのはやめとけって言われた…」
落ち込んでいるのか桃井の表情はいつもより暗い
上手くいかなかったのかと察した苗字は既製品のチョコレートを受け取り、ある提案をした
『来年は一緒に作ろっか』
「いいの?」
『うん。いいよ』
思わぬ回答に桃井がまた苗字に抱き着く
目の前で繰り広げられる光景を赤司が懐かしいと感じていると、苗字も同じことを考え彼女の腰に手を回す
「これからみんなの学校行くの?」
『うん。その予定』
「じゃあテツ君にも渡してくれない?」
「自分で渡さなくていいのか?」
「私これから部活のスカウティングだから、テツ君の学校まで行ったら遅れちゃうし大丈夫!」
『わかった。責任もって預かるね』
「うん!よろしく!」
彼女から既製品のチョコをもう1つ受け取る
もしかしてみんなに会いに行くことを事前に知っていたんだろうかとも考えたが、別に知っていたところで何か問題があるわけではない
受けとったチョコを紙袋に仕舞い、桃井と別れ電車に乗るため駅に入った