第23章 チョコを配ろう
今はこれが限界だがいつか彼にも本気を見せたいと最後にリップを塗っているとノックをされ、彼女が答えてないにも関わらず赤司が入ってくる
「終わったかい?」
『いつも言ってるけど着替えてたらどうすんの?』
「…どうしようね」
どことなく意地悪な顔をする赤司に「やばい、聞き方間違えた」と察し、苗字は急ぎ首にマフラーを巻き付け赤司の方に駆け寄る
『行こ。準備できた』
「可愛いね」
『事前に言ってくれてればもっと気合入れられたんですけどね』
「大晦日みたいにかい?」
『そうね』
「あれは妬けたね」
どういうことか分からない苗字は固まる
一体どこに妬く要素があったのだろうと考えながらオレンジのマフラーを首に巻こうとすると、赤司が彼女の手に自身の手を重ねた
「オレの時にはあんなに着飾ってくれなかったじゃない」
『そりゃ中学生と大学生じゃ違うでしょ。そもそもデートらしいデートしたことないんだし』
「デートだったら着飾ってくれたのかい?」
『…多分』
付き合ってから彼の様子が違ってなんだかドキドキすると、顔を直視出来ず視線を逸らした苗字に赤司が笑う
「さて、行こうか」
『どこ行くの?』
「大学」
『え、勉強?』
「みんなにチョコ渡すんだろう?」
『…ああ、ね』
先ほどまでいたリビングに戻りラッピングされたチョコレートを保冷バックに入れ、さらにそれを紙袋に入れて一緒に外に出る
まさかの午前中からに予定が変わってしまったので苗字の中でのスケジュールは崩れたが別にいい
手を繋ぎたいがどうしようと考えている彼女の手から荷物を奪い歩き始めた