第22章 おでかけ
「なんで笑うんだ」
『いや、ごめん。征十郎ってそういうところ真面目だよね』
「…真剣に話してるんだが」
『ごめん、いやそんな発想になると思ってなくて』
目の前の苗字が笑っている様子を不服そうに見る赤司に「確かに付き合うかは確認してないね」と返す
『付き合ってるっていうのが正しいかわかんないけど、そういうつもりだったよ』
「…はは、オレの杞憂だったようだね」
髪をクシャリと握りながら柔らかい微笑みを浮かべる彼は箱に入ってる黄瀬が左耳に付けているピアスの片割れを取る
「黄瀬からのピアスもつけていいかな」
『もちろん。着けれる?』
「痛かったらすまない」
赤司は着けたことないはずなのに慣れた手つきで彼女の右耳にピアスを着ける
そのまま頬に手を添えられ、気が付くと唇に柔らかい感触が当たっていた
『征十郎!』
「誰もいなければ許すと、言っていなかったか」
ぐうの音も出ない。確かに誰もいないし、今日帰ってくることもないので雪が入ってくる心配もない
いやでもそれは彼に伝えていないと高速回転する脳がキャパオーバーになりそうなところ、昨日のように包み込まれる
「やっと、彼氏を名乗れるよ」
なんだか安心するが変わらず心臓の動きは速い
どれくらいそうしていたのか分からないが、急に彼から重さを感じバランスが崩れ、視界が天井と赤い髪だけになった