第22章 おでかけ
何となくみんなで輪になった会話を挟みながら食べていると黄瀬が急に苗字の右側の髪を耳に掛ける
そして不満そうな顔をする彼に首を傾げた
「名前っち!帰ったらピアス付けるんスよ!」
『…ああ、してなかったんだっけ』
そう言えばと自分の耳たぶを触り、部屋に大事にしまわれたままのもらった数々の品を苗字は思い出す
元々ずっと着けていたものだし断ることもないと、肯定を示し頷くと次々に口が開く
「じゃあボクのミサンガも」
「オレが渡したヘアピンも着けるべきなのだよ」
「んじゃオレとお揃いのマフラーも!」
「それならオレが渡したネックレスもつけてくれ」
「櫛やったろ、使え」
「チョコのストラップ~」
「えー!私が上げた写真立ては!?使ってるよね!?」
「そんな貢がれてんのか苗字」
『はは、帰ったら忙しいなあ』
けどそれだけ彼らにもらっているということだということ日心が温かくなり笑っていると視線を感じる
何事かと目線を動かすとこちらをジッと見つめている火神と目が合った
「ハンドクリームも、使ってやれよ」
『そうだね、そうするよ』
でもカバンに入っている赤いリスと一緒でそれはあたしのじゃないんだな。と苗字は考える
賑やかな彼らを見て再び笑いながら家に帰ったらやることをリストアップする
やらなきゃいけないことばかりで忙しいなと思うが嫌な気持ちは全くなく、むしろ嬉しい気持ちでいっぱいだった