第22章 おでかけ
「今度また夕飯食べに来てくれ」
『ぐ…中学生と今じゃ状況が全然違うと思うんだけど』
「父も会いたがっている。オレ抜きで場を設けようか?」
『それは無理』
だんだん上がっていくと景色が遠くの方まで綺麗に見える。イルミネーションが敷地内に装飾されており、そう言えばこんなことするのは初めてじゃないかと彼女は気が付いた
『もう10年くらいの付き合いだけど、2人で観覧車乗るとか初めてじゃない?』
「そもそもデートをしたことがないね」
『…そう、だね?』
「ウィンターカップの後はオレが京都にいたし、Jabberwockと戦ったあとはすぐ消えてしまっただろう」
確かにと自分でコントロールが出来ないにしろ申し訳ない気持ちになる苗字の顔を見て、赤司が追い打ちをかける
「デート、火神に先越されてしまったよ」
『えー…ごめん。でも征十郎が悲しそうな顔するから』
「実際悲しかったよ。でも、名前もあの時こんな気持ちだったんだろうね」
『分かってくれた?』
「オレは浮気されたけどね」
『あたし誰かに髪切られましたけど?』
どっちもどっちかと顔を見合わせて笑っていると、そこにスマホの着信音が鳴る
苗字がスマホを見ると、黄瀬からメッセージが届いていた
『涼太から楽しそうっスねって来た』
「黄瀬には悪いことしたね」
『思ってもなさそうに』
「名前と2人で観覧車乗りたいなんて言うからかな」
『…は』
「オレだって、同じだよ」
そんなこと思っていてくれたんだと嬉しくなるのと同時に頬が熱くなる。そんな彼女を見る赤司の目は優しい
可愛いと思って気が付くと苗字の頬に手を添えていた。だがそんな彼女にはこちらを恨めしそうに見ている涼太の顔が嫌でも視界に入るのでブロックする
『ダメ!みんな見てるんだから!』
「…厳しいね」
『だ、誰もいなければ…許す』
「名前…」
『あー動かないで!そして抱きしめないで!揺れる!』
「すまない抑えられなかった」
正面に座り直した赤司を見て、凛としていた征十郎はどこに行ってしまったんだ。昨日からこんなキャラだったっけと疑問に思った
気が付けば頂上。黄瀬たちが乗ったゴンドラが下に行ったのでようやく何も見えなくなり一安心する