第22章 おでかけ
翌日、花札のおじいさんから借りた服を1日、というかほぼ半日で赤司がクリーニングをして持ってきてくれた
お礼の品と主に返しに行くとおじいさんは「元気そうでよかった」と笑っていた
彼にも頭は上がらないし足を向けて寝られない。と苗字は考えながら退院のための準備をしていると、昨日は姿がなかった虹村が扉から入ってきて片手をあげる
「よう苗字!記憶戻ったんだってな!」
『虹村先輩、お久しぶりです』
「おおやっぱこの方が落ち着くな」
『既に何回か言われてます…ちょっと…』
虹村が苗字の頭をばしばし叩く
力は入っていないため痛くはないが先輩でなければ振り払っていただろうと考える
だが彼も色々と気を使ってくれた人物だ
先輩じゃなくても今までの出来ことに免じて振り払うの今日はやめておいてあげることにしされるがままにしていると、離れていた征十郎が彼の腕を掴み叩くのを止めてくれる
そのやり取りになんだか笑ってしまった
『今日灰崎は?いないんです?』
「バイト、冬休み中だけやるんだとよ」
『へー、そんなことしてるんですね』
何をしているのか聞くと繁忙期限定のスタッフだと教えてくれる
それを知っているあたり虹村先輩と灰崎もなんだかんだよくつるんでいると思う。遊ばれているだけかもしれないけど
お見舞いにも一緒に来てくれたし、ボーリングの時も2部の試合後にも関わらず彼らは来てくれた
思い出していると満面の笑顔で桃井が苗字のもとにやってきた
「名前ちゃん!えへへ、迎え来ちゃった」
『さつき』
「大ちゃんも一緒だし何ならみんな来てるよ!」
『正月なのに暇なのか、駅伝見なよ』
「それより名前の退院の方が大事だろう」
『そんなことないと思うけどな…』
出場しているのかは分からないが所属する大学の応援をすればいいのにと考えるが、優先してきてくれているのだ。嬉しくないわけがなかった