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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《4》

第20章 消えた彼女





「お目覚めかい?」

『…に、ごう?』


声を発した彼女に火神がバッと顔を向け、駆け寄る


「苗字!起きたか!」

『火神?あれ、なんでこんなとこに…』

「大丈夫か、オレのこと覚えてるか?」

『ええ、何目覚めて早々…』


ブンブンと彼女のことを肩をつかみ揺さぶる火神を見て、彼は医者には向いていないなと2号は思う。そもそも学力が足りないのだが

2人の近くに立ち苗字の様子を見るが、特に異常はなさそうだ。小さく頷いて彼はしゃべり始める


「元気そうだ。話を始めよう」

『いやいや始めるって言ったってまず何?なんで火神ここにいるの?』

「覚えてないのかい、記憶にあるだろう?」

『…記憶?』


そう言われて脳が動き、この眠っていた間の別の誰かの記憶がただただ流れてくる

ぼーっと溢れてくる記憶を見ていると、火神が2号に問いかける


「あの苗字は、消えたのか」

「…消えたよ。本物のこの子を守るためにね」


視界には2号と火神がいるのに、この9か月間の記憶が流れている感覚と、自分の知らない間の記憶が入っている感じが不思議で、説明がし難い


「2号、お前何でこんなことしたんだ」

「僕は彼女が願っていたことを叶えただけだよ、2つね」

『そういうときって3つ叶えるもんじゃないの?中途半端じゃない?』

「真面目な話してんだよ苗字!」

『ひどい火神』


マイペースな苗字の雰囲気に火神の涙が引っ込む

そうだ、こういう奴だったと彼は再会から5分も経たない内に彼女の性格を懐かしく感じていた






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