第20章 消えた彼女
『2号、お待たせ』
「待ってたよ」
『火神君も一緒だけど、大丈夫?』
「大丈夫だから入れたんだ。最後に話す時間でもあげようと思ってね」
『…そう、だね』
最後という言葉に喉の奥がきゅっとする。彼に聞きたいことは、確かに残っていた
どうせもういなくなるんだし何を聞いてもいいかと、彼女は火神の手を離し彼の正面に立つ
『ねえ火神君、質問していい?』
「難しいことじゃなければな」
『私と付き合ってくれたのは同情?それとも私にあの子を重ねてた?』
黙る火神。そりゃあ答えにくい質問だろうと質問した苗字もわかっている
『嘘ついたら怒るからね』
「…最初は赤司に頼まれた。多分自分と重ねてるから付き合ってやってくれって」
『うん』
「でも苗字といるのは、楽しかった
一緒にいたいと思って迎えに行ってた。だから、す、好きだった、と、思う」
真っ赤な顔をする火神につられて頬が少し熱を持つ
例え最後だからと気を使って嘘を言っているのだとしても、素直に嬉しい
だが彼はこういうことで嘘をつけるタイプではないことを短い付き合いだが彼女は知っていた