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【黒子のバスケ】トリップしたけど…え?《4》

第19章 大晦日





ふと目を覚ますと、真っ白な空間に寝っ転がっていた

天井のない真っ白な空間。上体を起こすと目の前にはオレンジ色の髪をした私が寝ており、それを守るように2号が佇んでいた

起きたことに気が付いたのか2号が話しかけてくる


「お目覚めかい?」


喋る2号のことは自分の記憶じゃないが、知識のようにパッと思い浮かぶ


「君とは、初めましてだね」

『そう、だね』

「その顔、本当に思い出したみたいだね」

『…私の記憶じゃない』

「それはそうだろう、君は作られた存在なんだから」


口内が渇く。心が何かに押しつぶされるような、いろんな感覚が一気に襲ってくる

反論すべく言葉を探していると、追い打ちをかけるように2号はまた1つ真実を突き付ける


「君は、この子が作った存在だよ」

『…』

「記憶を失った彼女が、勝手に人格を作り上げたんだ」

『そんなことない、お母さんのことは覚えてる』

「その記憶は誰とも共有できないのに本物だと言い切るのかい?」


舌打ちをしたくなる。彼女がこんなにもイライラするのは初めてだった

その相手がまさか自分だったなんて、思いもよらなかっただろう


「彼女はまだ眠たいらしい。2回目覚めたが、また眠ったよ」

『…だから?』

「消えてもいいと、身体を返してもいいと思ったら、あの場所においで」


景色が風に吹かれた砂のように消えていく。オレンジ色の彼女は、何も知らないままよく眠っていた

すべてのものが消えた時、その世界から意識を手放した






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