第19章 大晦日
「なんでネクタイなんだ?」
『ちょっと早いかなって思ったけど…あって損しないかなって』
「入学式の時に使ったやつしか持ってねえから助かる」
『なんとなく火神君はそういうタイプだろうなとも思ってた』
予想が的中した苗字は笑って、火神からもらったハンドクリームをカバンにしまう
家を出るにはまだ少し時間が速いのでテレビを見るが、なんだか落ち着かない
『火神君、バスケしに行かない?』
「別にいいけどよ、いいのか?」
『うん、行こ』
そう言われた火神はボールを持ってストバスコートへ行く
こんな大晦日に良いのだろうかと考えるが、苗字自身が行こうと言っているので良いかと納得する
しばらく歩くと以前氷室と紫原と行ったストバスコートに辿り着く
ボールが弾む音がするので先客がいることはわかっていたが
「あれ、青峰」
「ああ?火神じゃねえか」
「名前ちゃん!」
『さつきちゃん』
あの時にも会った青峰と桃井が今日もいた
どうして大晦日に、と疑問に思っていると桃井が「家でゴロゴロされて邪魔だからって放り出されてる大ちゃん見張ってる」と説明していた
プライベートまで大変だと同情する
「名前ちゃんは?かがみんとデートじゃなかったの?」
『まだ時間あるからバスケしに行こってお願いしたんだ』
「良かったかがみんが連れまわしてるわけじゃないんだね」
2人は勝手に1on1を始めてしまったので、桃井と2人でベンチに座る
火神1人でバスケしてもらうのも気を使わせてしまうかと思ったので、青峰がいるのはちょうどよかった