第19章 大晦日
その後火神と苗字はショッピングモールを回り、日が落ちてきたのと1度荷物を置くため火神の家に行くことにする
家に着くと人が多かったせいか疲れがどっと襲ってくる
ただ本番はこれからなので休憩がてらローテーブルを挟むように2人とも座り、苗字はカバンからあるものを取り出した
『火神君、これ』
「なんだ?」
『クリスマスプレゼント?』
彼の顔がこわばる。緊張しているのか、カクついた動きでプレゼントを受け取ってもらえた
それを開けずに置いた彼はどこかへ行ってしまう。気に入ってもらえなかったのだろうかと心配していると、パステルカラーの紙袋を持った火神が現れた
「…オレからも」
『え』
「みんなから、ちゃんとしろって言われたんだよ」
顔を真っ赤にしながら言う火神からパステルカラーの紙袋を受け取る。中に有名なコスメブランドのギフトラッピングされたものが入っている
当の火神は落ち着かない様子で頭をガシガシとかく
「何あげたらいいのかわかんねえから、黄瀬に相談乗ってもらった」
『なんで黄瀬君?』
「姉ちゃん2人いるからそういうの得意らしい」
『てっきり氷室さんに相談したのかと』
「タツヤは信頼してるけどよ…ぜってーからかってくるから」
そんなからかうようなタイプだっただろうかと思うが兄弟ならではの何かがあるのかもしれないと考えだけでとどめる
『ありがとう火神君、まさかもらえると思ってなかったから嬉しい』
「いや、オレこそ、あ、ありがとな」
さっきより顔が赤い彼だが、こちらを見て笑う
お互いプレゼントの包装を開けると火神にはネクタイが何本かと、苗字にはハンドクリームが入っていた