第4章 目覚めた彼女
布団をギリギリと握り締めたまま苗字は怖くて聞いて良いのかどうか、分からない質問を雪へと投げ掛けた
『つまり、私は…お母さんが知っている私とは…別人ってこと…ですか?』
「…そういうことに、なるのかしらね」
『今の私を知っている人は、いるんですか?』
「…居ないと、思うわ」
『じゃあ…私は、誰なんですか?』
「答えられ…ないわ」
雪が言った時に、彼女は止まっていた涙を一筋流した。その涙を、顔を隠すように俯き、ふるふると震えながらポタポタと布団の上に涙をこぼしていた
そんな彼女を雪は優しく抱き締めて、何かポツリと呟いた
「ごめんなさい、力になれなくて…」
『…』
俯いてる彼女の目からは絶え間無く涙が流れており、ずっと雪は彼女の傍で「ごめんなさい…」と泣きそうな声で謝っていた
その頃廊下では赤司がかつての仲間、雪が呼んだと言う彼らの事を待ちながら床をただただ見つめていて、彼の表情からは何を考えているのかわからなかった
「赤司君!!」
「お前ら…意外と早かったな…」
「ちなみに高尾君も一緒です」
「ちーっす!」
「なんだ、また緑間といたのかい?」
「勝手に着いてきただけなのだよ」
「とか言ってんけどどーせ緑間が呼んだんだろ」
「呼んでないのだよ!!」
明るい雰囲気が流れる中、桃井が赤司に「中入っても平気?」と聞くと、彼は「今雪さんが話しているから少し待ってくれ」と言った
そして少し間を置いてから「お前達に、話しておくことがある」と言って少し顔を曇らせており、彼らの間に少し妙な雰囲気が流れた