第18章 ウィンターカップ 後編
「アイツらボールもねえのにどうやってバスケすんだ?」
「元気いいなーほんと」
「ボール持ってってやるか?」
『私、持ってきます』
「いいのか?場所分かるか?」
『裏ですよね、多分大丈夫です』
「じゃあこれ。火神に頼む」
『うん』
福田からボールを受け取り、体育館裏へ向かうとボールの弾む音がする
実は氷室みたいにボールをどこからともなく出せるのだろうかと考えながら曲がると、青峰と火神が1on1をしていた
黒子は少し離れたところに立っていて、何か言いたげな顔をしている
『黒子君、バスケしないの?』
「来たら青峰君がいて、火神君とバスケを始めてしまったので」
『…それは、参戦できないよねえ』
彼らはレベルが違うのだ。1度始まってしまうと手が付けられないのは知っている
持ってきたボールも意味がなくなってしまったので黒子と転がしたりなんだり遊んでいると、ようやく気が済んだのかドリブルの音が止まった
「おう、何やってんだ?」
『2人がバスケするっていうのにボール持って行かないから持ってきたら意味なかった』
「オレ1人でやってたんだけどな、火神が戦いてえって言うから」
「最初にふっかけて来たの青峰じゃねーか!」
いつも以上に言い合いをする2人に苗字がくすくすと笑う。言い合っているものの、とても楽しそうにバスケを行っていたのだ
汗を拭う彼らを見ていると遠くから足音が聞こえてくきて、だんだん近づいてくる
「大ちゃん!応援の途中でいなくなるのやめてよ!」
「さつき」
「テツ君!名前ちゃん!かがみん!今日試合だからいるだろうなって思ってた!」
『さつきちゃん!会えて嬉しい!』
桃井と苗字で会話をしていると1on1から火神と青峰と黒子でフリースローチャレンジが始まった
黒子がシュートを放ったが、外れる。その瞬間、ウィンターカップ初日のように景色が変わる