第18章 ウィンターカップ 後編
「ほら!出来たっスよ!」
『あ、ありがと…すごい、程よく毛先が揃ってる…』
「緑間っちハサミありがとーっス!」
「ラッキーアイテムなのになぜこんな使われ方をしなければいけないのだよ…」
黄瀬から借りた鏡で長さを確認している苗字にハサミを受け取った緑間が近づく
「…苗字、お前にこれをやるのだよ」
『…何これ、ヘアピン?』
「お前の今月のラッキーアイテムだ。着けていろ」
『今月、あと少しで終わりだけど…ま、いいか。ありがと』
受け取った苗字は黒子からの相田みたいにつけたらどうかという助言を聞き、前髪にヘアピンを止める
それを見た黄瀬が「似合ってるっスよ!」褒めるが、彼女は泣きだした
なぜ泣いているのだろうと疑問に思っていると、目の前の自分たちが消えていく
同時にまぶしい光と頭痛が彼女を襲い、体のバランスが崩れる
「苗字!」「名前っち!」
強い光を浴びた時のようにチカチカしている視界が戻ってきて、黒子と黄瀬が心配そうにこちらを向いている
緑間が支えてくれていることに気がつき、少し離れたところで紫原の足元に封が開いてないままのお菓子が落ちている
『…ごめん、急に頭痛が』
「あ~よかった名前っち!倒れたらここコンクリだからやばいっスよ!」
「お菓子落とした」
『それはほんとごめん紫原君…』
いつかの時のように変な汗がでるが、合宿の時の体育館ほどの頭痛ではない
心配そうにしている彼らに囲まれるまま階段に座っていればすぐに良くなった