第17章 ウィンターカップ 前編
合宿最終日、相変わらず黒子の寝ぐせはひどかった
2日目同様黒子の寝ぐせに大笑いした彼らは朝ごはんを食べ、ケイドロと練習をし3日間渡る合宿は終了した
なんだかんだみんなでワイワイするのは楽しかったので、名残惜しい気持ちになる
帰り道、頼まれずとも火神は苗字を送り届けることにした
「いや、疲れたな」
『お疲れ様、火神君大人気だったね』
キセキの世代と渡り合ったセンパイとして、火神と休憩時間でも1on1を希望する人が多かった
おかげで火神はこの3日間休む暇なく対戦していたが、彼自身も楽しそうだったのを覚えている
誰のプレイが良かったとか、意表を突かれたとか話を聞きウィンターカップが楽しみだと彼は語った
彼の話を聞いているうちに気付けば家の前についてしまう。荷物を受け取りお礼を言う
家に入ろうかと思ったが、まだ話せていないことがある苗字が振り返って火神を見つめる
『…火神君、あの、相談なんだけど』
「なんだ?メシの件か?」
『なんでそうバスケかご飯の話になるかな』
すぐご飯につなげる火神に違うよと否定し話を進める
『クリスマス、ウィンターカップでどこも行けないでしょ?』
『おう』
『だから、せめてあの、大晦日、一緒に神社で年越ししたいん…だけど』
「…おう、行くか」
『大丈夫?予定ない、かな』
「なんもねえから安心しろ」
『2人、だよ?』
彼女の顔が赤くなる、そのつもりだったが、いざ言われると火神も耳まで真っ赤になる
いつもより少し上ずった声で返事した火神に、彼女が笑う
『約束ね』
小指を立てた手を差し出す。その指に火神も小指を巻き付けて、子供のように約束を結んだ