第17章 ウィンターカップ 前編
『黒子君、なんでここに?』
「山で転がって手首を変な風にやってしまったので、湿布を貼りに」
『そうなんだ、ちょっと待ってね』
利き手とは逆の手を見る黒子の様子を確認し、左手首をやったのだろうと推測する
壁沿いに置いてある救急箱から湿布を取り出しながら戻る
「先ほどの頭痛の原因は、ボクですか?」
『黒子君…なのかな…』
一瞬脳内で浮かんだのは、夜の誰もいない体育館と、誰か入口からこちらを見ていた人だった
背格好的に、黒子だったのだろうかと考える
彼とは中高一緒だから、そういう場面があってもおかしくない
『夜の体育館で1人で、誰かが私に向かって話しかけてたんだ』
「…結構ありそうですね」
苗字は黒子の手首に湿布を貼る。落ち着いてからよく見ると、彼の髪に土がついていた
『土ついてるよ』
「すみません。ありがとうございます」
『いいえ』
その後、来た当初はすぐにケイドロに戻ろうと思っていた黒子だが、彼女の隣に座って話をした
しばらくすると買い出しが終わった相田親子が戻ってきたので、黒子もケイドロに戻ってしまった
午後は相田景虎指導の下、個々のスキルアップや試合形式で練習をした
余談だが、この日も夜に温泉に入った黒子はのぼせていた