第17章 ウィンターカップ 前編
「ナイスです火神君」
「…ああ、調子悪いのか?コイツ」
「いえ、たまに頭が痛くなるとは言っていましたけど」
「じゃあ疲れてんのかもな」
「ただ…」
以前赤司から風呂上りに急に眠くなった苗字の話を聞いたことがある。そして彼女が一瞬現れたと
思い出す黒子の横では火神は彼女を横に抱き上げており、その様子が考えこむ彼の視界の端に映り込むが、彼女に起きる様子は見られない
足元に転がる苗字の荷物を火神が見て黒子に視線を送る
「ただ、なんだよ」
「なんでもありません」
「そういうのが一番気になんだよ!」
「本当に何でもありません」
「なんだよったく…黒子、苗字の荷物持ってくれ」
「ボクだって名前さんくらい運べます」
「怖えから絶対渡せねえ」
少しムッとしている黒子だが現彼氏である火神に運んでもらうのが1番だろうと、床に落ちている苗字の不透明な袋を取る
先ほど部屋に行った時も寝ていたし疲れているだけなのだろうかと心配していると、意識していない方向から声が響いた
「ちょっと何してんの?通路の真ん中で邪魔になるわよ!」
「カントク、名前さんが寝てしまって」
「あら、そうなの?部屋に連れてきてちょうだい」
「ウス」
苗字を軽々持ち上げている火神は黒子と共に相田の後をついていく
彼女もお風呂上りなのか、髪がいつもより落ち着いている気がする
「カントクが通りかかってくれて良かったです。名前さんの荷物から鍵漁るわけにいかないので」
「そうよねー、着替えが入った袋開けたらぶっ飛ばすわ普通」
ニコニコ振り向きながら言う相田の笑顔に寒気を感じながら、彼女がルームキーで部屋を開ける
用意された布団に火神が苗字を下ろすが。彼女の起きる様子は未だ全く感じられない
「ありがとう火神君、黒子君。湯冷めする前にちゃんとストレッチするのよ」
「はい」
「ウス」
無事終わった火神と黒子が部屋を出ると、「ストレッチしとけー」と各部屋回っている日向がいた
先ほども同じようなことを聞いたようなと思いながら、彼の指示のもと自室でストレッチをし、その日は就寝した