第17章 ウィンターカップ 前編
「火神も料理上手いよな」
「ウス、1人暮らしなんで」
「偉いよなーオレ1人暮らししようとか思えねーもん」
「土田は?彼女と同棲とかしないのか?」
「考えてなくはないけど…まだいいかな」
「ヒュー!ツッチー早く結婚しちゃえ!」
「土田が結婚するならお祝いしないとなあ」
「木吉飛躍早くない?」
「まあオレらももう結婚できる年齢だもんな」
「酒も飲めるしな!」
「日向弱いのに酒飲むの好きだよな」
「言っとくけど今日はお酒なしだからね!
ウィンターカップ出場できなくなったら困るもの!」
「わかってるってカントク!」
盛り上がりを見せる日向達の代に対し、降旗達が「主将、酒弱いんだな」とこそこそ話している
黒子は興味がないのか目の前のごはんを隣の火神と正反対にゆっくり食べており、その足元では2号もご飯を食べている
結婚というワードに反応した苗字は目の前にちらりと火神を盗み見るが、彼もご飯を食べることに夢中なのか話を聞いていないようだ
『っ…』
たまに突如として現れる頭痛に顔を歪める
短時間で頭痛薬を飲むほどでもないそれは我慢していれば終わるのだが、毎度毎度急に来るので困ってしまう
ほんの少しだけ待てばと、箸を置いて水を飲みこみ一息つく
「大丈夫ですか?」
ふと聞こえてきた方向に顔を向けると、いつかの夏祭りの時のように水色の瞳が心配そうにこちらを向いていた
黒子が声をかけたことにより火神や降旗達も苗字を見る
『ちょっとご飯の量多いかなって、火神君食べてくれる?』
「あ?ああ、食べれねえ分のせろよ」
『ありがとう、助かる』
多いと思っていた白米の箸をつけていない部分を火神の御茶碗に移し、おかずのお肉も一切れ渡す
特に気にせず食べ始めた火神を笑いながら見ながら、少なくなったご飯に口に入れた