第17章 ウィンターカップ 前編
合間に来た相田の父である景虎の車に練習用の道具を入れ、汗だくになった彼らは出発した
辿り着いたのはそう遠くない相田の知り合いが経営する旅館
事前に聞いていた通りオフシーズンの為、人の入りは少ないようだった
「ここもすっかり恒例行事になったなあ」
「人気旅館になったら来れないな」
「そうなのか…?オレここの女将さんと仲良くなったんだけどな」
「たとえ話だって木吉」
オフなのにたくさん練習し、疲れ切った状態で宿に入った彼らはそれぞれ部屋に分かれる
夕飯までのわずかな自由時間、シャワーを浴びたり好きに過ごし、大広間に集まると美味しそうなご飯が待っていた
「オレ、名前ちゃんの作ったご飯でもよかったんだけどなー」
「名前先輩の作ったご飯…」
「つまりキセキを育てたご飯…!?」
『ありがたい言葉ですけど、ここのご飯の方が美味しいと思います』
「そんなことないよ!名前ちゃん料理上手だったもんね!ほら、水戸部も言ってるよ!」
『…水戸部先輩が?』
苗字が彼を見るが、口元は閉ざされており発声はされていないように見える
一体何を聞き取っているんだろうと疑問に思ったが素直にお礼を言った