第17章 ウィンターカップ 前編
「名前ちゃん!」
誰かに声を離しかけられた瞬間、何かが脳裏に映る
観客席にたった1人で座って、誰もいないコートを見る自分の姿。ほんの一瞬だったので次の時には高尾が視界に入った
『た、かお君』
「おつかれ!いい試合だったな!」
『そうだね、すごくよかった。終わってほしくなかったくらい』
「なんだそれ、選手大変だな」
冗談に思ったのか高尾は笑う。そしていつもの笑顔を解いて真面目な表情をしながら黒子を呼んだ
「よーやく、勝ったよ」
「はい。負けました。でも次は負けません」
「ま、黒子とオレは次2部の試合で戦おうぜ!」
そう言った高尾は「またな~」と言ってそのまま選手に会いに行くようだった
誠凛も同様に選手たちを労い会場を後にする
ひとまず決勝リーグお疲れ様会をしようという話になったらしく、先輩達交えてご飯を食べに行くことにした
「とは言ってもどこに行こうかしらねー、土日はどこも混んでるからこの人数入れるとこないと思うのよね」
「はいはーい!火神の家でいいじゃん!」
「今年もオレんちかよ!?」
「えーだってこの人数は入れるとこってカラオケか火神の家じゃん?」
「まあ他にもあるけどな」
「ちょっと距離あるけど路頭に迷うよりかはマシか」
「じゃあいこーぜ」
「オレの意見無視!?」
何が食べたいかというアンケートを取っていたが、もう収集が付かなくなってしまったのでマジバになった
大量の袋を疲れていない先輩やベンチ組が持ち、火神の家に到着する