第17章 ウィンターカップ 前編
「今日黒子は?来てねえの?」
『これから来るか、先ついてるんだと思う』
「お、火神と2人で来たんだ」
『最近よく送り迎えしてくれるんだ』
別に昼間なら大丈夫だと思うのだが、ここ最近彼と2人でいられる時間もなかなか無く送迎の時間だけ
その時間を減らしたくなくて甘えてしまっているのが現状だ
「ま、いんじゃね?火神がやりたくないとか言ってねーんだろ?」
『うん』
「そういうのは黙って甘えときゃいーんだよ」
『そういうものかな?』
「そーいうもんでしょ」
高尾が頭の後ろで腕を組み空を見る。あの時とは違って雲一つない良い天気だ
秀徳は誠凛に公式試合で勝ったことがない。つまり去年のウィンターカップ本戦、彼らは出場できていない
「あー、ほんとやになるぜ」
『え?なにが?』
「バスケが好きすぎてかな」
ケラケラと笑う様子に多分別のことを考えていたのだろうと推測しながら苗字は足を進める
どんどんと先に進んでいく火神と緑間に高尾と2人で笑いながら会場に着くと、今回の試合は消化試合にも関わらず熱気は今までの試合の中で1番に感じる
「うわやっぱすげえ熱気…」
『高尾君どこで応援するの?』
「秀徳んとこ!さすがに名前ちゃんは連れてけねえなあ」
『私はちゃんと誠凛のところで応援するよ』
「真ちゃーん!そっちじゃねえよー」
呼ばれた緑間は火神に着いていっていたが、眼鏡を直しながらこちらに戻ってきた
高尾と緑間と別れて火神と誠凛の応援席に行くと、既にメンバーが揃っている
「ウス」
『すみません、遅くなりました』
「おせーぞ火神!」
「ほら座って!」
「火神君、名前さん、こっちです」
黒子に呼ばれ見ると彼の隣の席が2つ空いていた。そこに座りしばらくすると試合が始まる
消化試合とは思えないほどの盛り上がり。手を抜くとは思っていなかったが、両チームともメンバーが最高火力となっているようだ