第17章 ウィンターカップ 前編
11月、ウィンターカップの予選が始まった
公式マネージャーではない苗字は観客席から応援する
誠凛のOBや桃井としっかり予定を立てて応援に行ったりもしたが、会場で緑間と高尾とばったり会うこともあった
ちなみに桃井は青峰が「めんどい」と言って来なかったと怒っていた
青峰が来なかった理由、それは3年前のウィンターカップの盛り上がりが良かったのか今年からインターハイで優勝・準優勝した高校は自動的に出場資格を得られることに変わったそう
桐皇学園はすでにウィンターカップの出場資格を得ており青峰はついて来なかったそうだ
そんな順調に勝利しコマを進めた誠凛決勝リーグ最終日
「おす」
『おはよう火神君』
「さ、行こうぜ決勝リーグ」
何日か火神が練習のため一緒に行くことができなかったが、決勝リーグ最終日は各OBも気になる人がいるため練習が休みになったそうだ
今日の相手は因縁の秀徳高校。既に両校2勝しているためウィンターカップの出場権は得ている
火神と会話し会場の前につくと後ろから軽く肩を叩かれる。何かと思って振り向くと高尾が笑顔で立っていた
「おっす!名前ちゃん!」
『高尾君、おつかれさまびっくりしたよ』
「火神もおっつー」
「おう、今日はよろしくな」
「よろしくっつーけどオレら試合しないからな?」
「後輩たちがよろしくなっつー意味だよ」
『緑間君は?』
「駅まで一緒に来たけど名前ちゃん見つけたから置いてきちゃった」
ペロリと舌を出して頭を軽く叩く高尾の後方から、早歩きで緑の髪が迫ってきていた
無表情の高身長が早歩きするとこうも怖いのかと思いながら、苗字は緑間に手を振る
『緑間君、予選ぶり』
「ああ、急に走り出すな高尾」
「真ちゃんオレに怒る前にあ、い、さ、つ!ほらこんにちはーって」
「今日はウチが勝つのだよ」
「ああ!?誠凛が勝つに決まってんだろうが!」
「何を言っている、今日のかに座はしし座より運勢が良いのだよ」
「オレら試合関係ねーっつの!」
先ほど同じような発言を誰かがしていたようなと思いながら言い合いを始めた彼らは先に言ってしまう
高尾は彼らのやり取りを笑いながら苗字の隣に立った