第15章 みんな一緒に
赤いカチューシャをじっと見つめられていることに気づいた高尾が、彼女の視界の真ん中に入るように赤いカチューシャを掲げる
「名前ちゃんもつけてーなら貸そっか?」
『あ、ううん、大丈夫』
「中学からじゃずいぶん長く使ってんだな」
「そっりゃ大事にするに決まってるじゃないっすか!」
「まー確かにオレも弟と妹からもらったプレゼントなんだかんだ取ってあるな」
「うわー虹村さんお兄ちゃんなんすね、親近感湧きますわ!」
「兄弟いるって楽しそうですね、ボクは一人っ子なので」
「名前もそうだよな」
『はい。でも、昔から赤司君が一緒…だったから』
記憶にないのに勝手に口が動いた
赤司と一緒に過ごした記憶はないのにと苗字が放心状態になり固まっていると、止まってしまった会話を虹村が繋げる
「確かにな、赤司と苗字はよく一緒にいたわ
生徒会とかもあったんだろうが」
「ボクは黄瀬君がくっついているイメージもありますね」
「あー…、黄瀬がくっついてたな」
「何それ?!黄瀬がくっついてるってどういうこと!?」
「黄瀬が、苗字の周りにいるんだ大体」
「それ今もそんな変わんなくないっすか?」
『確かにみんなでいると黄瀬君が隣にいること多いかも』
「昔に比べれば減りましたけどね」
思い出話に浸っていると他のチームが練習で投げ始めていることに気が付く
普段運動しているが種目が違うと4人も遅れながらも投球練習し、試合が始まった