第15章 みんな一緒に
「すまない、待たせたかな」
「赤ちん遅い~お腹すいた~」
「さっきまでお菓子を食べていたやつが何を言っているのだよ」
「あんなんじゃ全然足りないよ~」
「オレも腹減ったから早く食いてえ」
「火神っちすごいソワソワしてたっスもんね」
「まるで自分はへーきみたいな言い方だなリョータ」
「どっかの人の食べ物取って食うヤツとは違うんスよ」
笑いながら虹村が灰崎の腕を掴み歩き始め、先導し始める
今日の試合がどうだったとか、今度どこの学校とあたるとか、他愛ない話をしながらお店まで歩く
桃井が苗字の隣を歩いていたが、お店の場所を確認したい虹村に呼ばれて前に言ってしまう
するとそこを狙っていたかのように赤司が隣にやってきた
「名前」
『赤司君、試合お疲れ様』
「ああ、見に来てくれてありがとう」
『約束したし、みんなの試合見たかったからね』
「面白かったかい?」
『うん、手に汗握っちゃった』
へへと笑う苗字に赤司が目を細めた
そして前を歩く彼らを見つめて、口を開く
「よかったね名前」
『え?』
「みんなに会えただろう?」
苗字は何となく察した。この間のつぶやきを覚えていてくれた赤司が手引きしてくれたのではないだろうかと
でなければ黄瀬が2部の彼らを連れてくるわけも、彼らが学校の人たちに同行せずこちらにいるわけも納得できない
『なるほど、さすがだね赤司君』
「オレは何もしてないよ」
『そういうことにしておくね』
彼の優しさを身に染みて感じながら、苗字のワガママを聞いてくれた彼らに感謝の気持ちでいっぱいになる
心がくすぐったい様な感覚に口元を緩めると、赤司が横で楽しそうに笑っていた