第14章 冒険に行こう
新幹線を降りて改札を出ると、外は暗くなっているにも関わらずたくさん人が歩いている
「レオ姉このまま遊び行こうよ!」
「あんたそれ酔いつぶれるから介抱してほしいだけでしょ」
「そんなことないよ。永ちゃんもいこ!飲み比べだ! 」
「受けて立とうじゃねえか」
「あんたたちそんなことしてるから潰れるんでしょ!」
「黛さんもいこ!って・・・あれ」
「帰ったよ。影を潜めてね」
「も~!黛さん連れ戻してくる!赤司も行こーよ!」
「征ちゃんは苗字さんを送って来なさい。疲れてるでしょ彼女」
「ああ、ありがとう実渕」
『ありがとうございます実渕さん』
実渕がうまく彼らを引き付けて、去り際ウインクをして歩いていく
葉山は途中で振り返ってこちらを見たが戻ってくることはなく大きく手を振ってきた
そんな彼らを見送って、最寄り駅方向の電車のホームへ向かう
「赤司君、本当にありがとう。2日間とっても楽しかった」
「楽しんでもらえたならなによりだ」
『そういえば赤司君、最後わざと負けた?』
「どうしてだい?」
『否定しないってことはやっぱりそうなんだね。勘だよ』
「…相変わらず鋭いね」
『というか赤司君が何も揃わなくて負けるっていうのが変で、せめてワンペアは揃うでしょ赤司君なら』
「オレだって普通の人間なんだが」
それを聞いた苗字がくすくすと笑う笑っていたかと思ったら急に「あ」と口に出しカバンの中から何かを探し始める
あまり探すのに時間かかるようならと赤司が足を止めたが、すぐお目当てのものを見つかったようで彼女の手にはお守り袋があった
『赤司君、これあげる』
「…お守りか?」
『幸せを呼ぶ鈴なんだって』
ふわっと柔らかい表情を浮かべる
「紫原が買っていたな、あの時」
『恋守りとか渡すよりなんか、赤司君には幸せになって欲しいなって思って』
「…オレは十分幸せなんだけどね」
それ以上を求めてしまうと、昨日のオレンジの瞳の彼女を思い浮かべる