第3章 ボクらの記憶
その後すぐに来た7人は苗字の状態を見て目を見開いて、ゆっくりと彼女に駆け寄った
中でも桃井は、喋ることができない程まで既に涙をボロボロと流していてどれだけ悲しいか一目でわかった
「なんで…なんで、なんで!なんで名前っち!
まだオレ謝れてないのに、また…また…」
「…黄瀬の言う通りだ。お前にはまだ言い足りないことがあるのだよ」
「…っち」
「名前ちん…起きてー…?」
「揺するなっつの紫原…あー苗字、…お前、また、消えるのかよ」
「また、あなたがいない日々を送るのは、いやです」
集まった彼らはまるで彼女が死ぬかのように取り乱していて、なぜこれ程騒いでいるのに誰も来ないのか不思議な程だった
そして消えかけている彼女を見た紫原が、ポツリと呟いた
「またオレは、忘れちゃうのかなー…」
そう呟くと彼らは一気に涙を浮かべて彼女をジッと見つめ、赤司が彼女を見て「名前…お願いだ、もう消えるな!!」と叫ぶと、彼女はそれに反応したかのようにまた1筋涙を流してスゥ…と消えるのが止まった
そのことに彼らは一瞬目を見開いて、次の瞬間彼らはパァ…!と笑みを浮かべた
「…止まった!」
「え、でも…なんで?」
「名前っち…!!」
喜びのあまりか黄瀬は彼女に抱きついて、「良かったっスー!!」と笑顔を浮かべた
そんな彼を見て呆れている人もいたが、どうやら全員同じ気持ちのようで彼を見て笑っていた
だがその近くで、赤司、緑間、黒子が何か考え事をしているようだった
「…何か、呆気なくないですか?」
「ああ…同感なのだよ。今まで苗字が消えるのなら消えるはずだ…それに、赤司の一言で消えるのが止まるなど…あっけなさ過ぎるのだよ」
「緑間それは貶しているのか」
「そんなわけあるか、苗字が消えなかった事はオレも喜ばしいに決まっているのだよ」
どうやら考えていることは3人とも同じようで、不意に彼女へと目線を向けると彼女の髪の色が変化していた