第14章 冒険に行こう
「ここも有名かな」
『あれだよね、それぞれ違うご利益の滝』
「気になるのはあるかい?」
『なくないけど、すごい並んでるし…大丈夫かな』
「そうか、なら行こう」
彼はどこに行こうとか、並ぼうとかここに行きたいとか全く言わない
赤司自身の行きたいところとかは行かなくていいんだろうかと思うが、聞いても高校時代に行ったからとかわされてしまう
私ばかり行きたいところに連れてってもらって良いんだろうかとも疑問に思いながら歩いていると、先程とは別のお守り授受所が視界に入る
『赤司君、お守り追加で見てってもいい?』
「もちろん。待っていようか」
『ありがとう』
彼から離れて、授受所で先程とは違うお守りを見ていく
渡す人のことを思い浮かべ、それぞれにこれかなと思ったものを選んでいく
受け取ったお守りを先程のお守りとまとめてカバンにしまい、待ってくれている彼の方へ足を向ける
『赤司く…』
木陰で涼しむ彼の前髪が、風に煽られおでこを撫でる
その様子が何となく目が離せなくて、立ち止まってしまった
「名前?」
『あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてたかも』
「熱中症かもしれない。少し休んでから行こうか」
『大丈夫だよ』
「オレも休みたいからちょうどいいよ」
彼はそう言ってぬるくなってるであろうペットボトルの蓋を開ける
苗字にも水分補給するように促して、お茶が喉を通っていく
日陰のせいか、風が気持ちよかった