第14章 冒険に行こう
本屋から離れ駅の中に入ると、とてもガタイのいい男が現れる。身長自体は火神とそんな変わらなそうだが、腕の膨らみ方とかが違う
写真や桃井のプロフィール帳で事前情報は知ってはいたが、木吉や紫原が纏うほのぼのした雰囲気は感じられず、思わず苗字は怯んでしまった
「この筋肉バカが根武谷永吉だよ!」
「赤司から連絡来てたヤツか、よろしく」
「うるさいけどいいヤツよ」
『苗字名前です。よろしくお願いします』
「悪いヤツじゃないよ!マッスルマッスルうるさいけど!」
「筋肉はウソをつかねぇ!何度でも言ってやる!」
『なんかよく分かりました』
腕を上に曲げて上腕二頭筋を見せてくる根武谷に小さな拍手を送る
確かに今まで見た人の中だったら1番筋肉がありそうだ
『泊まりなのに、皆さん荷物ないんですか?』
「邪魔になるから先に送ったのよ」
「オレはボストン1個で済んだのにー、レオ姉が沢山あるからじゃん!」
「うるっさいわねぇ!男には分からないかもしれないけど色々必要なのよ!」
「小太郎、触れると長い説明が始まるからやめとけ」
「げぇ、永ちゃんの言う通り黙っとこ」
コソコソ話す葉山と根武谷にすかさず実渕が「言いたいことあるなら直接言いなさい」と言ってくるが、彼らは何も言わなかった
そんなばつが悪そうにしている葉山はふと思い出したのか、目を見開く
「あ!トランプ買うの忘れた!」
「そう言うと思って買っておいたよ」
「わー!さすが赤司!どこにあったの!?」
「駅の中にあるコンビニ」
「同じようなヤツが何人もいるってことだろ」
「ありがとう赤司!後でみんなでやろうね!」
「どうせ赤司の一人勝ちだろうな」
「赤司抜きなら参戦してやらなくもない」
「征ちゃん抜きは悲しいでしょ!せめて審判!」
彼らの会話を聞いて、やっぱりどこの高校も仲が良いんだなと思う
だが、トランプに審判は必要なのか、赤司抜きとはどんなゲームなのか疑問に残る会話のまま新幹線に搭乗した