第12章 夏祭り 前編
「なんか随分大所帯になったなぁ」
「あら伊月君、買い出しお疲れ様!」
「よう!みんなさっきぶりー!」
先程買い出し組と称してきた伊月、小金井、水戸部が両手に大量の袋を持って現れる。そして足元には2号
そこに迷子になっている木吉の姿はなく、まだ彼はどこかを彷徨っているのだと理解出来る
「木吉見つかったか?」
「いやいない。アイツどこ行っちゃったんだろうな」
「あんだけでかいの誘拐とかねえだろうしなぁ」
「木吉を誘拐、そら愉快」
「伊月黙れ」
「騙されて着いていくならありそうだけどね」
『…スマホは持ってないんですか?』
「ここにある」
日向の手には木吉のスマホが持たれている
謎のキャラクターのキーホールダーがついている所がなんとも彼らしい
「巾着袋に入れると他の荷物が入らないからなー、手で持ってるよー。って言ってたんだけどな」
「予想通り置いてったわね」
「それはー木吉センパイらしいすね…」
「すっげぇ自由なんだな木吉サンて」
「いや大ちゃんも負けてないけどね」
笑う一同に不服そうな青峰だが、自分でも思い当たる節があるのか反論はしない
3人が戻ってきたことによりだいぶ手狭になっていることを察知した赤司は1人先に立ち上がり「そろそろお暇します」と相田に声をかける
「あら、ごめんね飲み物しか出せなくて」
「十分です。こちらこそお邪魔してしまいすみません」
「ゴミ捨ててっていいぞ!水戸部が持ってるビニールのな!」
「めっちゃ助かります!いやぁ誠凛の人優しいなぁ」
「先輩達にど突かれるぞ高尾」
「じゃあね~焼き鳥ご馳走様」
「2回目だけどな、はめ外しすぎるなよ」
「ウス」
「黒子、もし木吉に会ったらスマホくらい持ってけダァホ!つっといてくれ」
「はい」
高校の時と変わりない先輩の様子に黒子が少し笑う
それぞれが軽く挨拶して、苗字は2号に少し構ってからその場を離れる
5人は姿が見えなくなるまで、話をしながら彼らのことを見ていた