第12章 夏祭り 前編
「桜井くん?」
「え、あ、桃井さん」
「あぁ!?桃井どこにいんだ!?」
「やっぱり桜井くん!皆さんも」
「なんやすごい集まりやの~青峰はおらんのか?」
「焼き鳥買いに行ってます」
「そうか、アイツらしいな」
少し残念そうにする桐皇の面々と共に輪投げを行った結果、桃井はちいさなうさぎぬいぐるみキーホルダーを景品として選んでいた
それを手に輪投げの屋台の前から人の邪魔にならないところへ移動する
「名前ちゃん、会うの初めてだよね?」
『うん』
「私と大ちゃんが通っていた時の高校の同級生と先輩だよ
今吉さんと諏佐さんと、若松さんと桜井くん」
「あー!オレも大坪さんたち紹介すりゃ良かったー!」
「必要ないのだよ」
「相変わらず元気なやつらや」
「スミマセン!元気でスミマセン!」
「いやお前の事じゃないぞ桜井」
変わらない様子のみんなの姿に桃井が頬笑みを浮かべ、そんな嬉しそうな桃井を見て苗字も笑っていた
他愛ない会話をしていると突如何かを思い出した諏佐が黒子の方を見る
「そういやさっき観覧ブースで日向いたぞ」
「日向先輩ですか、観覧ブースのどこの辺りで…」
「割とすぐ近かったよなぁ?」
「スーパーボールすくいの前あたりだったと思います」
「ありがとうございます」
「おう、じゃあそろそろ行くか」
「青峰の顔でも久々に見に行こか」
「いっすよアイツの顔なんて!」
黒子がお礼を言うと、桐皇のメンバーは歩き出してしまう
桃井が手を振ると、桜井だけが手を振り返してくる
他のメンバーは青峰の話題を出しながら彼がいる焼き鳥の屋台の方へと足を進めている
そんな仲が良さそうな彼らを見て桃井が嬉しそうに、目を細めて笑っていた