第11章 溶けていくもの
火神の家に向かう途中にマジバによってチーズバーガーとテリヤキバーガーを大量に買ったため、荷物が多い
その中にはもちろん自分たちの分はあるものの、圧倒的チーズの数が多い
「ごめんね名前ちゃん、大ちゃん残らせればよかったね」
『ううん、全然平気
2人…っていうか火神君が沢山食べること忘れてた…』
「よくあんなに食べるよねー」
無理持てない!という重さでは無いが、ビニール袋の持ち手のくい込み具合でよく分かる
『さつきちゃんは何しに買い物行くの?』
「浴衣!夏祭りのために買っておきたくて!」
『そっかぁ、浴衣かぁ…』
「名前ちゃんはなんか買いたいものあるの?」
『あ、のねぇ…』
「うん!」
ちょっと恥ずかしそうにする苗字に桃井が首を傾げる
彼女は顔を赤くしうむつきながら小さく声を出した
『か、火神君、もうすぐ誕生日だから…』
「プレゼント買うの!?一緒に選ぼー!!」
『一緒に選んでくれる…?』
「もちろんだよ!」
彼女が嬉しそうに笑うのを見て桃井も笑った
会話を弾ませているとあっという間に目的地である火神の家に着いてしまう
押す必要があるか悩むがチャイムを押して、ドアを開けようとすると勝手にドアが開いた
「おう、遅かったなお前ら」
「重かったんだよー!もう!」
『飲み物の氷溶けちゃってるかも』
「氷抜きにすれば良かったね」
頼んだものを袋から出してテーブルに置いていき、それぞれ席についた
雑談をしながら食事をし、4人はそれぞれ準備をしてショッピングモールへと向かった
向かうまでの道のりはこれまた暑かったが、ショッピングモールの中に入った瞬間涼しい風が迎えてくれる
『はぁ…涼しい…』
「タツヤに言われてきたけど、なんか欲しいものあるのか?」
「私が浴衣欲しくて!
名前ちゃんも浴衣見に行こうよ!」
『あ、え、うん』
「大ちゃんとかがみんは一緒にスポーツショップでも行ってきな!」
「…え」
楽しそうに話しながら遠ざがっていく桃井と苗字の姿に火神がポツリと呟く
「これオレら来た意味あんの?」
「荷物持ちだな」