第11章 溶けていくもの
「やっべぇ…どのくらいたったんだ??」
「あ~づがれた~」
「ノンストップでやることじゃなかったね」
タオルを持っていないためTシャツで汗を拭う火神の姿に苗字がほんのり顔を赤くする
見慣れない彼女の姿に桃井がフフッと笑った
「あー、タオル持ってくれば良かった~」
「タオルならあるよ」
「うわっ!タツヤどっから出したんだ!」
「Secret…」
どこからかタオルを人数分出した氷室は青峰や紫原にも渡していく
しかし残念なことに彼らの服は既に汗を吸いとってしまって、少し重さが出ている
「大ちゃんったら!そんな格好じゃあショッピングに行けないよ!」
「いやしょうがねぇだろ、さつきがコイツら着いてけって言うんだから」
「じゃあ、タイガから青峰くんの服を借りればいいんじゃないか?」
「あ?」
「ついでにタイガも名前さんとショッピングに行っておいでよ」
「あ、ああ…いいけど…」
氷室の言葉に桃井が「一緒にお買い物だー!」と喜ぶ
そんな彼女の姿を見て嬉しそうに笑った
「いやでも腹減ったなぁ」
「それならかがみんと大ちゃんは先戻ってて!
マジバでテイクアウトして買って帰るよ!」
「ああ、じゃあ「大丈夫!かがみんがチーズバーガーで大ちゃんはテリヤキバーガーね」
「合ってる…」
「おうじゃあ先行ってんなー」
スタスタと先に行ってしまう青峰に対し、火神は氷室と紫原に「またな!」と挨拶して去っていく
「じゃあ、ムッくん、氷室さん。また」
『忙しいところありがとうございました』
「ううん。また夏祭り会おうね~」
「名前さん、タイガをよろしく」
『は、はい』
簡単な挨拶だけし、2人はストバスコートを去っていく
氷室は彼女達が公園から出たのを確認すると、足元にあるボールを軽くドリブルし、シュートを放った
「室ちん、オレらも買い物行くんじゃなかったの?」
「オレは気を使っただけさ。アツシも行きたかったら行ってもいいんだよ?」
「そう言われて行くと思う?」
ムッとした表情をする彼に氷室が「そうだよな」と笑う
彼は足元に転がってきたボールを持ちながら何とも言えない表情をし、紫原に「帰ろう」と声をかけ公園を出て行った