第11章 溶けていくもの
やはり外は暑い。そんな時左手に出てきたコンビニに目を惹かれ、入ってこの暑さを凌ごうとする
まるで導かれるように進んでいった紫原がアイス売り場の前で足を止めた
「室ち~ん、アイス」
「ああ、いいね
2人も何か食べるかい?」
『食べるの遅くて溶かしちゃうからカップがいいなぁ』
そういってそんなに高くないアイスに目を向ける
なかなか決まらない彼女に火神が提案する
「じゃあこれ半分すっか」
『半分??』
ぱっと火神が手を伸ばしたのはチューペット型のふたつ入ったアイスを手に取る
他に必要なものがないか聞くとそのままレジに向かう
会計を済ませて外に出ると袋をゴミ箱に捨てパキッと割って、なんならしっかり蓋も開けて苗字に渡す
氷室はそんな2人の姿を見て微笑ましくみていたが、紫原は若干不満そうである
「ほらよ」
『ありがとう』
「で、どっか行きたいとこあるのか
タツヤについて行かなくてもいいからよ」
『あの…火神くんのバスケしてるとこ…見たい??』
「あー…タツヤ、ここら辺ストバスコートあったっか」
「あるよ、あのあそこ」
「いや、ボールないし、どうやって試合するの」
「ボールならあるよ」
「うわっ!タツヤどっから出したんだ…」
「secret…」
突如出てきたボールと発音がいいことはさておき、まあボールがあるならできるとアイスを食べながらストバスコートへ向かう
また暑い道のりで、チューペットから結露した水が流れてくる
歩いていると、「珍しい組み合わせだねー!」とふと聴き慣れた声が聞こえてきて
向かいの歩道を見ると、桃色の髪をまとめた桃井が手を振り、ぶすっとした青峰が立っていた
左右から車が来ていないことを確認して桃井が走ってこようとするが、青峰は動く様子がない
仕方なく桃井が安全を確認しながら引っ張ってきた
「なんか大きい人たちが歩いてるなーって思ったんだ!」
「歩道占領してて邪魔くせぇだけだろ」
「いや青峰君も十分でっかいからね、4人でどこ行くの?」
「ストバス行こうかと思って」
「え!大ちゃん付き合ってあげなよ!」
「ああ?買い物はいいのかよ」
「そんなの後ででいいよー!ほらほら!」
桃井が青峰の背中を押して火神の横に並ばせる。彼女は苗字の横に並んで、えへへと笑った