第11章 溶けていくもの
『そう言えば紫原君はなんで火神君の家に?』
「室ちんに誘われて~」
「いや元々アツシとショッピングの予定だったんだけどね」
「室ちんなんかその言い方すごいやだ」
「名前さんと会えるみたいだから、ショッピングはまたにして会ってみたかったし来たんだ」
爽やかにサラッと言ってのける彼はすごいと思う。苗字は特に会ってみたかったという言葉に喜んでいるのか、少し笑った
『私も氷室さんに会えて嬉しいです』
「ありがとう」
「オレも名前ちんに会いたかったし」
「アツシ、むくれない」
『紫原君にも会えて嬉しいよ。久しぶりだもんね』
大学でバスケを続けているからなかなか休みが被ることは少ないし、ちょこちょこ他の人には会っては居るが、全員と平等に出会えているかと言えばそうでは無い
「じゃあアツシ、そろそろお邪魔みたいだし行こうか」
「え~外暑いじゃん」
「元々ショッピングの予定だっただろ」
「だからその言い方嫌だって言ってんじゃん」
「じゃあなんて言えばいいんだ?」
「買い物!!!」
言い方が違うだけで内容は変わらないじゃないかと思うが、彼なりになにか思うとこがあるのだろう。他2 人は疑問に思うがそこはあえて触れない
「オレらも一緒に出かけるか」
『え』
火神の何気ない一言は苗字にとって嬉しい一言だった
両思い、と言っていいのかは分からないがそんな状態から特にデートもしてないのである
一気に表情を明るくする彼女を見て氷室はクスリと笑い、手をあげる
「それだとオレらがいなくなる意味が無いじゃないか」
「あ??」
『ああ、うん。分からなければいいんだよタイガ』
食べ終わったお皿をさげる
この後どこに行くのかなぁなんて考えて、彼女は上機嫌だった