第2章 ~prologue~
親の仕事の都合で大阪に引っ越した
急だったからろくに友達にも挨拶できなかったし
まさかあと一年で中学生活が終わるという時に
転校だなんて思いもしなかった...
転校も初めてではないし、
親に文句を言うつもりもない
ただ一つ、心残りは長年続けてきたテニスを辞めたこと
プロになりたいとかそういうつもりはなく、
小さい頃から両親の趣味で一緒にやってきただけだが
いざ辞めると心にポッカリ穴が空いたみたいで
「せめて最後の大会くらいでたかったなー...」
引っ越しのダンボールを片付けながらは
ポツリと呟いた
「なにか言った~??」
別の部屋から母親の声がする
「んーん、何にも?」
私は声に思わず声に出してしまった事にふっと息をもらし
笑みを返した
それからしばらくして片付けも一段落した頃には日も落ちかけていた
は早めに帰ると母親に告げると外へ出て行った
(ずっと家にいたら息つまっちゃう...)
軽く伸びをすると背骨がパキパキとなる
私はふぅと息をはくと歩き出した
何か宛があるわけではなく暫く歩いていると
目の前に大きな鳥居が現れた
(大きい...神社?お寺かな?)
鳥居をくぐると門があり木でできた表札が見えた
大阪府立四天宝寺中学校
「四天宝寺...中学?」