第5章 ~CHITOSE SENRI~
今にも消え入りそうに呟かれたその声に、軋むような胸の痛みを感じる
でも驚きの方が勝っていて私は言葉が紡げないでいた
「がイヤやったら離れるけん...」
「........」
「オレんごたヤツにこげん言われてどう思うかは自分でも分かっとう...」
そうだ
こんなのおかしい
どうかしてる
なのに
「......千歳はカッコイイね」
「.......は?」
私から出た言葉は自分でも意外な言葉で、千歳は驚いて気の抜けた声を上げる
「ぁ...ちゃかしてるとかそんなんじゃないの、ただ...」
「?」
「そうやって気持ちが伝えられるのってすごく難しいことなのにちゃんと言える...私には出来ないことだから」
私はふっと笑みを浮かべる
「まぁそれでなくても千歳は男前でカッコイイから面と向かって好きって言われて....ドキドキした」
「......っ!!」
私はこんな状況なのに笑っていた
千歳の声が
首筋に当たる息が
私を欲しがるその表情が全部
「......時間切ればい」
「え?」
「逃げられるスキはあげとったとよ」
なんでだろう
もっと見たいって思ってる
その先を私は――――
「.....そうね」
お互いに視線を絡ませたまま、千歳は衝動のままに唇を塞いだ
知りたい