第7章 【帽子の王様】
厳重な樫の扉が開かれると、そこにはつばの広いエメラルドグリーンの帽子をかぶった初老の魔女が立っていた。少しのほころびも許さぬほどキッチリと髪を結い、顔のしわ一つ一つまでもが厳しそうな雰囲気をかもし出している。
「マクゴナガル先生、イッチ年生をお連れしました」
「ご苦労様ですハグリット、ここから先は私が先導します」
そしてその声からも、厳格そうな印象だけが伝わってきた。とにかくこの人には逆らってはいけない、そういった空気が1年生の間に漂い、誰もが口を挟むことなくマクゴナガル先生に従ってホグワーツ城の廊下を渡った。
「ホグワーツ入学おめでとう。歓迎会を始める前に、皆さんが入る寮を決める儀式を行います」
マクゴナガル先生は生徒達を小部屋に連れて行くと、そこで簡単に寮の仕組みを説明してくれた。が、肝心の組分けの方法を教えることなく、準備があると言ってさっさと部屋と後にしてしまった。
小部屋に取り残された生徒達は、先生がいなくなったとたんに一斉に話しを始めた。マグル出身の子はおろか、古くからの魔法族出身の子だろうが誰もが組分けの詳細を知っておらず、殆どの生徒が不安そうに顔を見合わせ、相談しあった。
もちろん、ついさっきまで組分けの事などすっかり頭からほっぽりだして余裕綽々の笑顔で友情を確かめ合っていたハリー、ロン、クリスのお馬鹿3名も、流石に顔を青くしていた。
「僕がジョージから聞いた話だと、すっごく痛い試験だって言ってた。――嘘だと良いんだけど……」
「どうしよう、僕……どこにも入れなかったら……」
「そんなものどうにでもなる。問題は私だ、あのお節介女とは一緒になりたくないが、スリザリンなんかに入れられたら人生は終わったも同然だ」
固まって頭を抱えてはいるが、3人が3人とも全く別の事を気にしていた。
ロンは親兄弟がホグワーツ出身なので大体自分が入る寮の検討がついているため、寮の事よりもその試験方法が気になり、逆にハリーは前例がないので組分け自体が不安で仕方なく、クリスは入った寮で今後自分の人生が大きく変わってしまうと、大いに悩んでいた。