第37章 【終業式】
次の朝、ハリー達が話の続きをしに医務室まで来てくれた。マダム・ポンフリーの言いつけで、ベッドの上で暇を持て余しまくっていていたクリスにとって、それはどんなお見舞いの品よりも嬉しかった。
しかしクリスの身体に障ると、マダムからお許しを貰ったのはたった5分だけだったので、3人はことの要所要所だけをクリスに伝えた。
「――という訳で、僕らの予想は初めから外れていたんだ。犯人は初めからクィレルで、スネイプは早い段階からそれに気づいて、あいつの計画を阻止しようとしていたんだって。ハロウィーンの日も、クィディッチの試合の時も、2人で話しているのを見たときも、全て僕らの勘違いだったんだ」
「はあ!?勘違いだって?あんなに怪しかったのにか?」
「それが狙いだってクィレルも言っていたよ。スネイプみたいなのがあちこち嗅ぎまわってくれていたお陰で、自分が怪しまれずに済んだってね」
ハリーの説明に、クリスはどうしても納得がいかなかった。あんな怪しい振る舞いばかり見せていたくせに、実はクィレルを止めようとしていましたなんて言われても、どう信じろと言うのか。それにスネイプは本当に『例のあの人』と繋がりが無かったのだろうか。正直言って、父やルシウスと繋がりがあると言うだけで、黒に近い存在なのに。
眉根を寄せるクリスだったが、前日の「上辺だけを見るな」というダンブルドアの言葉を思い出し、考えを改めた。クィディッチでハリーを助けてくれた事もあるし、きっとスネイプもああ見えて案外善人なのかもしれない。そう自分に言い聞かせた。
それに、他にも聞きたいことは山ほどある。
「なあハリー、クィレルに取り憑いていたあいつ……『例のあの人』は結局どうなったんだ?」
「僕も詳しい事は知らないんだ。だけど今もどこかを彷徨っているはずだってダンブルドアが言っていたよ。死んでもいないし、もちろん生きているわけでもないから殺す事もできない。だからクィレルのように身体を貸してくれる人間を、きっと今も探しているはずだ。――11年前に僕を殺し損ねた時の、あの呪われた姿のまま……」
「それじゃあ、あいつは死んでいないのか?」
「あいつはそう簡単に死ぬ奴じゃない。クリスも見ただろう?あいつの最後の執念を」